実地指導は介護保険法の23条及び24条に基づいて行われるものです。介護サービス事業所に対して、指定有効期間中に少なくとも1回実施され、都道府県など担当者が介護サービス事業所の運営状態をチェックします。
対象となる介護サービスは、居宅サービス、地域密着型サービス、居宅介護支援、介護予防支援など7つです。実地指導の主な目的は、高齢者の尊厳を守り、良質な介護が受けられる体制を維持すること、高齢者への虐待を防止することなど。実地指導の内容は、運営指導と報酬請求指導です。運営指導では、虐待、身体拘束などの防止の取り組みに関して指導が行われます。また、ケアマネジメントプロセスの重要性について理解を深めるように助け、運営指導マニュアルに基づいた指導も行います。
報酬請求指導については、「報酬請求指導マニュアル」を用いて指導を行います。指導の際には、事前に事業所に自己点検シートを送付し、自己点検をすることを求めます。実地指導で介護保険法に違反してはいないものの、不適切と判断された場合には、口頭で指導されます。指導にもかかわらず改善されない場合は、改善勧告が出されることもあります。
改善勧告では、期限を決めて是正をするように勧告されます。勧告されるのは、指定基準あるいは条例で定められた人員基準を満たしていない場合や、指定基準に合った運営ができていない場合などです。実地指導で、法律に違反しているということが分かった場合は、その程度によって指定の取り消しや指定の効力の全部停止、指定の効力の一部停止などが行われます。不正に介護報酬を受けていた場合には、介護報酬の返還や加算金の支払いも求められます。